ラガービール
ラガービールはビールの一種で、上面発酵ではなく、下面発酵製法で造られます。
「ラガー」はドイツ語で「貯蔵」という意味を指します。その名の通り二次発酵を「貯蔵庫」で行うビールを「ラガービール」と呼びます。ビールの表示に関する公正競争規約では「貯蔵工程で熟成させたビールでなければラガービールと表示してはならない」と定められています。現在、日本国内で最も流通量が多いため「ビール」と言えば「ラガー」をイメージする人も多いです。
ラガービールの発祥は、南ドイツのバイエルン地方です。15世紀頃のドイツではビール造りは腐敗の少ない冬に行われていましたが、低温すぎると発酵が進まず、温度管理が難しいというデメリットがありました。このデメリットを解消したのが新しい酵母と貯蔵方法の開発で、天然の氷とビールを洞窟で春まで貯蔵する方法が生まれ、ラガービールの原型となりました。19世紀以降には「冷蔵技術」が普及し、ビールの長期保存が可能になり、ラガービールは世界で最も飲まれているビアスタイルとなりました。
ラガービールは10℃以下の低温で時間をかけて発酵させる「下面発酵製法」で造られます。ホップの苦みが効いた爽快な「のどごし」や、アルコール度数も5%程度とマイルドで飲みやすい味わいが特徴です。ドイツでもビールと言えば「ラガービール」を指しており、土地ごとに様々な種類のラガービールが製造されています。
ラガービールの特徴
- 低温での発酵:ラガービールは低温での発酵が特徴です。そのため、よりクリアでクリスプな味わいを持ちます。
- さわやかな風味:フルーティーでモルティな風味がありますが、その中でもさわやかな印象が特徴です。ホップの香りや苦みが穏やかで、飲みやすい特性があります。
- 透明な外観:ラガービールは明るく透明な外観をしています。これは低温での長期発酵により、醸造中の不純物がよりよく沈殿するためです。
- スムースな口当たり:なめらかでスムースな口当たりがあります。そのため、多くの人々にとって好まれるビールのタイプの一つです。
これらの特徴からもわかるように、ラガービールはクリーンで飲みやすいビールであり、多くのビール愛好家に愛されています。
ラガービールの主な種類
- ピルスナー:チェコのピルゼン地方が原産で、淡色の美しい黄金色をしています。クリアなのどごしに苦みの効いた味わいが特徴です。
- ヘレス:ヘレスはドイツ語で「明るい」を意味し、ドイツ南部、特にバイエルン州やバーデン・ヴュルテンベルク州で製造されているラガービールの一種です
- エクスポート:ドルトムント・ミュンヘン・ウィーンのものが有名で、アルコール度数が5パーセント強とやや高いです。
- メルツェン:オクトーバーフェスト用に長期熟成したビール。ドライで飲みやすい。赤みがかった琥珀色が特徴。
- デュンケル:デュンケルはドイツ語で「暗い」を意味します。単にデュンケルと呼んだ場合には、バイエルン地方のダークビール全般を指すことが多いです。
- ボック:ドイツ北部を発祥地とするビールのスタイルで、アルコール度数が高いことが特徴です。通常のビールと比較して濃厚な味わいが楽しめることから、冬に最適なビールとされています。
- フェストビア:現代のフェストビアは淡色、飲みやすい、へレスより少し高めの6%前後です。
- シュヴァルツ:黒ビールの一種で、ビターチョコレートやコーヒーを彷徨とさせる香ばしくすっきりした味わいが特徴です。
ラガービールは、その爽快な味わいと美しい黄金色で、世界中の人々に愛されています。